本日のおすすめ / NOB【映画感想文】マッカム

上田有美

「母を愛するために、私は自分の無邪気さを捨てた。」

病を抱える母を支え、「優しいいい子」であろうとする少女・寿々弥。母を大切にしたいという純粋な願いは、いつしか「自分よりも母を優先しなければならない」という、甘く重い呪いへと変わっていきます。
現実の共依存と幻想世界での冒険が交差しながら、寿々弥が失ってきた心を拾い集め、「自分を第一に愛する」という選択へたどり着くまでを描いた物語。漆が傷ついた樹を守り、やがて美しい器へと姿を変えるように、痛みさえも新しい人生の形へ塗り重ねていく、力強く幻想的な再生の物語。

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『ハナトミナト』目次・作品紹介|上田有美|小説家|ハナトミナト 集英社オレンジ文庫ノベル大賞応募作。一次選考通過! 『ハナトミナト』目次 0、プロローグ 一、漆の器 二、ばあちゃん 三、砂漠の巫女とお姫様 四、お好み焼き事件 五、バ...
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『ハナトミナト』第0章プロローグ|上田有美|小説家|ハナトミナト  母を愛するために、私は自分の無邪気さを捨てた。傷つくたびに流れ出る心の血を、漆が樹の傷を癒すように、いつか美しい器に変えられると信じてーー。 プロローグ  梅雨...
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『ハナトミナト』第九章「銀芙蓉」|上田有美|小説家|ハナトミナト  今日は水門が閉じている。鏡が淵の辺りで膝を抱えて座り、寿々弥は水面を見つめていた。いつもは澄んで美しい水面が今日は淀んで水中の銀芙蓉が見えない。淵に注ぐ滝の音...

見えないのではなく、まだ見たくないだけなのかもしれない。
「今は見たくなければ見なくていい」
その言葉は優しい救いである一方で、現実から遠ざかる甘い誘惑にも聞こえます。すべてを受け入れてくれる乙也の温もりに身を委ね、「ずっとここにいたい」と願う寿々弥。しかし、その安らぎの奥には、彼女を異界へ深く引き込もうとする気配が静かに潜んでいます。
水中で透明になる銀芙蓉のように、見えなくなった感情も、心の底には確かに存在している。罪悪感、自己防衛、甘えたい気持ちが美しい幻想の中で溶け合い、救いと危うさが同時に立ち上がる一章です。

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『ハナトミナト』第十五章 透明なカプセルを出て一歩前へ|上田有美|小説家|ハナトミナト 「大学は家から通える学校にしなさい」  寿々弥は京都の学校の漆工専攻と輪島の学校とで迷っていた。でもどちらも家から通学できる距離ではなかった。今回渋ったのは母だ...

「私の人生は、私のもの。」
漆を学ぶため、家を離れて進学したいと母に告げる寿々弥。しかし母は、心配という言葉で彼女を引き止めようとします。母を置いて成長することへの罪悪感と、いつまでも母の望む娘でいることの苦しさ。二人きりの「透明なカプセル」の中で生きてきた寿々弥は、母の涙に揺れながらも、自分の人生を選ぶための言葉を初めて正面から差し出します。
「お母さんと私は、別の人間なんやで」
物語は最終章へ…。

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アラームの鳴る部屋で、お茶を飲む――「15分で去らない衝動」と生きる、依存のサバイバル。|上田有美|小説... ストレスが溜まったとき、衝動的に、または無意識にする行動はありませんか? 苛々が溜まったとき、一服の煙草でリラックスする。 残業帰りにコンビニでスナック菓子や甘い...

買い物への衝動に苦しんだ自身の経験をもとに、「衝動の波は十五分で去る」という単純な説明では捉えきれない、依存の現実が綴られています。
休むことさえ生活を壊す恐怖になり、気を紛らわせるための対処法にも、いつか疲れてしまう。経験者だからこそ書ける切実な言葉が、依存を意志の弱さとして片づける見方を静かに覆します。
「自分をもてなす」という言葉が、責め続けてきた自分との関係を、そっと結び直してくれるようでした。依存を意志の弱さとして片づけず、消えない衝動と共に今日を生きる人へ、小さくも実践的な光を手渡してくれるエッセイです。


ー ご紹介した書き手さん

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上田有美|小説家|ハナトミナト|note 公募小説を書いています。BPD当事者・乳がんサバイバー。起立性調節障害やヤングケアラーなど痛みに寄り添う幻想小説『ハナトミナト』連載中です。同作で #オレンジ文庫ノ...
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