
「肌色」が「うすだいだい」に変わっていた。
たった一本のクレヨンが、知らないあいだに流れていた時間を連れてくる。
父の日の似顔絵を描く娘を眺めながら、ふと思い出す、自分が子どもだった頃のこと。
そして気づけば夫もまた、あの日の父と同じように、娘の絵を飾る額を探している。
時代とともに色の名前は変わっても、親が子を愛おしく思う気持ちは変わらない。
ころころと転がってきた一本のクレヨンから、親から子へ、そしてまた次の世代へと受け渡されていく愛情が見えてくる。
何気ない家族の日常が、じんわりと胸を温める一篇。
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短編小説『転がってきたクレヨン』|笹木茜
リビングで4歳の娘が絵を描いていた。私はそばに座り、洗濯物を畳みながらその様子を眺めていた。 「おとうさん」とひらがなで上手に書けている。ついこないだまでは...
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掌編小説『あおむしくん、遊びに来なよ』|笹木茜
「あおむしくん、今度うちに遊びに来なよ。新しいゲームやろうよ」 テントウムシくんがそう言ってくれたのがうれしくて、ぼくは遊びに行った。すると、テントウムシくん...



「みんなと違う」ことは、ときどき悲しい。
でも、それを面白いと思える場所も、ちゃんとある。
居場所と成長をそっと描いた、やさしくて少し切ない一篇。
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短編小説『追いバターの哲学』|笹木茜
私は毎朝、焼いた食パンにバターを塗る。……いや、正確にはバターを塗って焼いた食パンに、さらにバターを塗る。 『追いバター』とでも言っておこうか。 バターにバタ...



失敗は、消せない。
でも、その上に何を重ねるかは、自分で決められる。
それを“追いバター”にたとえてしまうところも、なんだかとてもいい。
一度の失敗で、自分全部をダメだと思わなくていい。
失敗ばかりだった過去が、いつか誰かを励ます言葉になることもある。
朝の食パンに重ねられたバターのように、人生もきっと、苦い記憶の上に新しい味を足していける。
肩の力がふっと抜ける、やさしくておいしい人生讃歌。
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短編小説『消えたシュークリーム』|笹木茜
「あれっ……?」 冷蔵庫を開けると、ぽつんとシュークリームが置いてあった。 こんなの買ったっけ? 私は一人暮らしで、食材とヨーグルト以外、余計なものは買わな...
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短編小説『だから今日はタコライス』|笹木茜
「はい、これで完成ー」 私はタコライスの真ん中に温泉卵を乗せた。 ご飯の上に、香ばしく炒めたひき肉と玉ねぎがたっぷり広がり、あら切りのトマトとシャキシャキのレ...
ー ご紹介した書き手さん
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笹木茜|note
元書店員。趣味で1話完結の短い小説を書きます。隙間時間にでも一読いただければ嬉しいです。 ▼2026年3月に初の短編集「黄昏れる女」が発売。Amazonにもあります。 https:/...









