本日のおすすめ / NOB【映画感想文】マッカム

坪井 聖

「きみのことばにおとをあげる」
血に濡れたフルートと、最後の笑顔から始まる物語。美しさと死、救いと狂気、祝福と呪いという相反するものが、言葉と音を通してひとつに重なっていく。

他人の死や壊れていく命に、美しさを感じてしまう林道直人。誰にも明かせない本性を抱え、“優しい善人”として生きる彼が、初めて自分の言葉を差し出した相手が、天才フルート奏者の結野栞。
その言葉は、彼を救う祝福となり、やがて生涯を縛る呪いとなった。
二人の出会いがなぜ悲しい結末へとつながるのか、そして直人をどのような表現者へ変えていくのか。強い光ほど深い影を生むような、危うくも美しい物語の幕開け。

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『ことばにおとを』第1話|君がくれた、祝福と呪いの言葉|坪井 聖 | 小説・読書 【あらすじ】 「他人の死に、芸術的陶酔を覚える」 ――悍ましい認知の歪みを隠し、“優しい善人”を擬態して生きる林道直人。大学進学を控え、彼は余命一年の天才フルート奏者...
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『ことばにおとを』第22話|血に濡れたフルート、煌めく命の灯火ーー太陽が顔を隠すなら、私が輝いてやる|... ▼ 前の話はこちらから 1話から読みたい方はこちら  病院の一階。小児科の待合ロビーの近くに、洋風の中庭がある。入り口に向かう際に必ずここを通るから、前に栞がこの病...

「太陽が顔を隠すなら、私が輝いてやる」
余命わずかな栞が選んだのは、残された命を守ることではなく、最後の一音まで燃やし尽くすことでした。体がもう演奏に耐えられないと知りながら、彼女は直人からもらった言葉に音を与え、愛する人の記憶に自分を刻みつけようとします。
生きることを諦めかけた自分を救ってくれた直人へ、感謝も、愛も、別れも、すべてを込めて奏でられる最後の演奏。その音は草花や風までも震わせ、言葉と音がひとつになって世界を照らしていきます。けれどその美しさの裏には、「忘れないでほしい」という栞の切実で身勝手な願いも隠されている。彼女の演奏は直人を救う祝福であると同時に、彼の人生を生涯縛る呪いでもあり…

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『ことばにおとを』第23話|消えゆく旋律――無音が遺した最後のわがまま|坪井 聖 | 小説・読書 ▼ 前も話はこちらから 1話から読みたい方はこちら 最終章 交響曲   栞の演奏が幕をとじる。最後の一音まで凛として、陽気で、必死で、悲しくて、真剣で、彼女の心の...

音が消えたあとに残ったのは、二度と埋められない沈黙だった。
伝えられなかった感謝と後悔だけが膨らむ一方で、栞の命は静かに終わりへと近づいていきます。
忘れられたくないからこそ、最も美しい姿を刻みつけ、二度と会わないことを選んだ栞。その決断は、愛する人を守る優しさであり、自分を生涯忘れさせないための残酷なわがままでもありました。
鳴り響いていた旋律が途絶え、物語を包むのは、言葉すら届かない無音。最後に一度だけ会いたかったという栞の本音と、二ヶ月後に届く訃報が胸に深く残ります。愛した人を失った直人に、栞は何を遺したのか。物語はラストへ向かいます。

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『ことばにおとを』第24話|天国からの雨予報ーー手紙が語る彼女の本音|坪井 聖 | 小説・読書 ▼ 前回の話はこちら 1話から読みたい方はこちら   君と再会したちょうど一年前の三月。  今度は君との別れの月になるなんて、思いもしなかった。  春愁に満ちた風が、...
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『ことばにおとを』第25話|表現者という名の怪物|坪井 聖 | 小説・読書 ▼ 前の話はこちらから 1話から読みたい方はこちら  栞がいなくなってから、二週間が経った。  僕はほとんど睡眠も取らずに、小説を書き続けた。葬儀から数日しか経ってい...

「他人の人生を、自分のために貪る。表現者とは、そういう怪物なのかもしれない。」

誰かの痛みを描くことは、救いにも暴力にもなり得る。それでも書くのをやめない者は、怪物なのか、それとも人の心をつなぐ者なのか。栞が遺した音を言葉の中で生かしながら、直人が自らの矛盾と共に歩き始める。そして、物語は最終話へ…。


ー ご紹介した書き手さん

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坪井 聖 | 小説・読書|note 「君の死を、僕の最高傑作の燃料に――」 狂気と善意、芸術に命を捧げた二人の表現者を描く、 完結済み長編小説『ことばにおとを』を連載。日々の創作日記や雑記も綴っていま...
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