本日のおすすめ / ひつじレモン『クリームソーダの魔法』

ろくべえ

「チョコレートもいらないから……ママ、おうちに帰りたいよ」
それは、幼い少女が願った、あまりにも小さくて切実な願い。
タンポポの綿毛を飛ばして笑っていた幸せな日常から一転、白血病と闘うことになったエラと、その痛みを代わってあげることのできない両親。
生きること。家族でいること。いつもの家に帰ること。
当たり前だったすべてが、かけがえのない願いに変わっていく。
静かに胸を締めつける、愛と祈り…。
続きを読むことに、少し勇気が必要になるほど心を揺さぶられる一篇です。

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星に願いを 1|ろくべえ Chapitre I Le vœu du pissenlit ~ タンポポの願い 幸せな家族 エラが生まれた年に夫婦が購入した小さな家の庭の花壇には、タンポポが数輪花をつけていた。  春風がや...
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メッセンジャー 2 青痣の少年|ろくべえ 第2章 青痣の少年 翌月曜日、タケルの右目にはくっきりと青い痣が浮かんでいた。腫れた目を隠すように顔を伏せ、教室の隅の自席にひっそりと腰を下ろした。目立たないよう...

「大丈夫?」
ただそれだけの言葉なのに、誰にも気に留めてもらえなかった少年にとっては、きっと少し特別だったのだと思います。
傷ついた心が、誰かの何気ない優しさに初めて触れる瞬間。
焦げた一本のペンから始まった小さな出会い。
それがこの先、孤独だった少年の世界をどう変えていくのか——。
誰かに見つけてもらうことの温かさを感じる一篇です。

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エリシオン 2|ろくべえ 第2章 最初の生贄 進宙後80時間、エリシオンは木星のスイングバイ軌道に乗るために自律加速を中止した。エリシオンは、木星の重力に引かれながら緩やかに進路を変えつつ...
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超文系女子“がっこにおまかせ!” 9|ろくべえ  十二月最後の土曜日。  クリスマスを二日ほど過ぎた清水の夜は、風こそ弱かったが、冷え込んでいた。  午後五時を過ぎたころ、純喫茶『こが』の入口に掛けられていた《...

誰かを好きになること。
友達と離れたくないこと。
好きな人が、自分ではない誰かを大切にしていると知ること。
詩も歌も、人生の答えを教えてくれるわけではない。
ただ、答えの出ない夜にそっと隣へ座り、「私もそうだったよ」と言ってくれる。
友情と初恋、言葉にならない感情が静かに交差する、十六歳の冬。
青春とはきっと、こういう何でもない夜のことなのだ。

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介護をしている全ての人へ#77 ~ 急転|ろくべえ  母と弟が昨日の話し合いとは全く逆の結論を出した。父の運命を決めた日だった。苦い思い出。 2019年3月18日(月)母の日記  先生に夫の治療方針を伝える。  積極的な治...

少しでも長く生きてほしい。
けれど、意味を理解できないかもしれない治療や、苦しい副作用を父に背負わせることが、本当に「生きてほしい」という願いなのか。
「僕たちに代わってこれをやってくれるつもりだったんだね」
弟のその言葉によって、怒りとしてしか届かなかった兄の気持ちが、ようやく“優しさ”として見えてくる場面が胸に残ります。
誰かの命に関わる選択に、きっと完全な正解はありません。
だからこそ、この日の家族が抱えた罪悪感も、後悔も、「なるべく優しく接しよう」と決めた思いも、あまりにも切実です。
同じ一日を、母と息子、それぞれの日記から見つめた記録であり、
家族がひとつの命と向き合った、忘れることのできない一日の記録がここにある。


ー ご紹介した書き手さん

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ろくべえ|note 専門書の編集者でしたが、仕事に見切りを付けました。 今は、猫の「ぼんど」と山登りを人生の楽しみに生きています。
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