本日のおすすめ / ひつじレモン『すべての雨をよける男』

長門 沃夜

『ミネラルウォーターみたいな人』を読んで好きになりました。
透明で淡々としていて、それでいてどこか心に残る。そんな読後感を持った素敵な作品です。
人がいくつもの役割を抱えながら生きていること、その奥にある小さな渇きのようなものを、押しつけがましくなく描いていて、静かに染み込んできます。

note(ノート)
短編小説『ミネラルウォーターみたいな人』|長門 沃夜  マッチングアプリで出会った四十代前半の人妻は、美人だった。  これは別に誇張でも皮肉でもなく、ふつうに「おっ」と思うタイプの美人だったので、待ち合わせのカフェ...
note(ノート)
短編小説『鍵が二つある部屋で、洗濯物が乾くまで』|長門 沃夜  大学に合格して上京することになり、下宿を探して不動産屋を何軒か回っていたときに、彼女と知り合った。  明るい茶髪できれいめな服を着ていて、「よろしくお願いしま...

恋人とも、同居人とも、ただの客とも言い切れない関係が、鍵と洗濯物という生活の手触りの中で静かに進んでいく。
大きな事件は起きないのに、距離感の曖昧さや、若さゆえの受け身な感情が妙にリアル。「名前をつけなくても続いていく関係」の危うさと心地よさが残る短編でした。

note(ノート)
短編小説『光を見るために』|長門 沃夜  小学生のころ、友達と缶蹴りをしているときに、ふとぼくは本気で「かめはめ波」を出そうと決めた。誰も見ていない裏庭の雑草の間で、両手を突き出しながらゆっくり息を吸...
note(ノート)
短編小説『エナメルの女』|長門 沃夜  その人は、室内で二人きりになると、少しだけ別の素材で出来ているみたいだった。  うちの近所に住んでいる四十代ぐらいの女性で、昼間すれ違うときは、地味で上品で、...
note(ノート)
短編小説『三十年後の君へ』|長門 沃夜  吾輩はポケモンである。名前はもうない。  もともとはあったような気もするのだけれども、呼んでくれる人間がいなくなってしまったので、名前というものがなんだったの...
目次