本日のおすすめ / ひつじレモン『クリームソーダの魔法』

大泉 尚

道ばたに咲いた、たった一輪のすみれ。
そこから名前の由来を想像し、まだ見ぬ家族の食卓をつくり、しまいには働きアリたちの恋物語まで始まってしまう。
大泉尚さんの散歩には、目的地がない。
けれど、だからこそ見つかるものがある。
歩く。見る。妄想する。
何でもない風景の隙間に立ち止まり、そこから世界を少しだけ面白くして帰ってくる。
そんな想像力があれば、日曜日は遠くへ出かけなくても、ちゃんと特別な一日になるのかもしれない。
いつもの道に咲いているかもしれない小さな花を、少しだけ探したくなる一篇です。

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【随筆】日曜日が成立する3点セット|大泉 尚|拾眺する人 日曜日だった。 川沿いの農道を、特に目的もなく歩いている。 こういうとき、だいたい僕は歩きながら空想をする。 いや、空想なんて上品なものじゃない。 正確には、妄想だ...
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【詩】目薬|大泉 尚|拾眺する人 子どものころだ 母が目薬を差してくれた 目をぎゅっと閉じると 母は指で、ぐにゅっとこじ開けてきた ぽたっ 痛くて 驚いて なのにどこか うれしくて ぎゃーっと言いながら ...

ぽたっ。
一滴の目薬から、母のぬくもりが蘇る。
目薬の冷たさではなく、誰かに手をかけてもらっていた記憶。
嫌がりながら、ほんとうは少しうれしくて…。
大人になってから思い返すと、あの頃は気づかなかった愛情が、こんな小さな出来事の中にも残っていたのだと気づかされます。短いからこそ、胸の奥に長く残る詩です。

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【短編小説】ヤブの中|大泉 尚|拾眺する人 ヤブの中 ― プロローグ 誰かが、この部屋にいる。 そう思ったのは、音や声のせいじゃなかった。 朝、台所に立ったとき、いつもの場所に、いつもと少し違うものがあった。違...

誰かがいるのかもしれない。
怖いのは、大きな物音でも、はっきりとした異変でもない。
ラップのかけ方や、物の位置のわずかな違い。誰かに話せば「気のせい」と説明されてしまいそうな、小さな違和感が積み重なっていく。
その瞬間、物語は単なる“誰かがいる恐怖”から、もっと深く、もっと切実な場所へ踏み込んでいきます。
自分が見ているものを、自分自身で信じられなくなったとき、人は何を頼りにすればいいのか。日常のほんのわずかなずれから、心の足場が少しずつ失われていく怖さを描いた、静かなのに息の詰まる一篇です。

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【自己紹介】今日は、何になさいますか?|大泉 尚|拾眺する人 いらっしゃいませ。 ……というのも、なんだか変ですね。 ここは料理店ではありません。 僕のnoteです。 ただ、初めて来た人には、少しわかりにくいかもしれません。 随筆が...

「今日は、何になさいますか?」
詩、随筆、小説、料理、酒、恋──一見ばらばらに並ぶ言葉たちは、たどっていけばすべて「ひとりの人生」という同じ根へ戻っていく。何でもない一日を拾い、眺め、もう一度愛おしむ。過ぎ去った時間さえ、書くことで再び生き直せるのかもしれない。人生そのものを一軒の店に見立て、今のあなたに合う一篇をそっと差し出してくれる、温かくて少し可笑しい「言葉のメニュー」。

今日は、どれを選びますか。

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【妄想随筆】Bar White❶|白ワイン専門店|大泉 尚|拾眺する人 Bar White カウンターディナー券 Bar Whiteは、白ワインだけを置く小さな店だった。カウンターは八席。奥には二人掛けのテーブルが二つある。すべて埋まっても十二人。け...

誕生日が、少し苦手だった。
四人の娘から贈られたのは、白ワイン専門店で「ひとりで呑む」ための一枚の券。けれど、ひとりで開けたはずの扉の向こうには、料理とワイン、初めて会う人たちの笑い声、そして自分でも忘れかけていた誰かに祝われる温かさが待っていた。
一人でいたい夜と、独りにはなりたくない夜。その違いを、白ワインの淡い金色がそっとほどいていく。過去の痛みまで無理に消さず、「今日まで生きてきたこと」に静かにグラスを掲げたくなる、やさしく可笑しく、じんわり沁みる一夜の物語。


ー ご紹介した書き手さん

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大泉 尚|拾眺する人|note はじめまして。妄想が趣味です。 どうでもよさそうなことが、なぜか気になります。 気になったら調べます。そして、だいたい余計なことを考えます。 詩を書いたり、物語を...
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