本日のおすすめ / ひつじレモン『クリームソーダの魔法』

ハヌル

血のつながりだけでは、家族になれない。
けれど、同じ食卓を囲むたび、人は少しずつ「帰る場所」をつくっていける。

十六年ぶりに再会した父・準成と、深い傷を抱えてやって来た十七歳の娘・夏空。そして、二人を迎える準成の恋人・綴。突然始まった三人の暮らしには、戸惑いも偏見も、簡単には言葉にできない痛みもあります。

準成さんと綴さんは、ただ「ゲイのカップル」として描かれているのではなく、長く暮らし、欲望も生活も不安も共有してきた、ひとつの関係としてしっかり描かれています。
そこには親密さがあり、照れがあり、身体の記憶があり、日常のルーティンがある。
そして同時に、社会の中で簡単には先へ進めない現実もある。
その具体性があるから、ふたりの関係がとても生きて見えました。
登場人物それぞれが矛盾を抱えたまま、ちゃんと人間として描かれている。
そこが、この物語の一番大きな魅力だと感じました。
また、文章の中にある匂いや食べ物の描写もとても良かったです。
性的マイノリティや在日韓国人という背景を、単なる設定ではなく、登場人物たちが愛し、生き抜くうえで避けては通れない現実として描いた、切実な家族再生ドラマです。

守ることは、正しさを押しつけることではない。相手が自分から近づいてくるまで、食事を用意し、距離を守り、静かに待ち続けることなのかもしれない。
たくさんの泪の先で、血のつながりも、家族という名前さえも越えて、人が人を愛し、守り、ともに生き直していく――胸の奥にいつまでも消えない灯りを残す物語です。

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『たくさんの泪から僕は生まれた』総集編|空-Haneul-|note 出会って15年、共に暮らして10年、在日韓国人・林(朴)準成(39)と恋人の森下綴(38)の元に、準成の娘・橘夏空(17)がやって来た。闇バイトに関わり性被害に遭った夏空...
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『たく泪』朴準成アンソロジー詩篇『翻訳されない気持ち』|空-Haneul-|note 『たくさんの泪から僕は生まれた』主人公・朴 準成(박준성)による韓国語訳アンソロジー詩篇と遺作詩集、随筆を編んだ『翻訳されない気持ち』を収録。 準成13歳〜39歳ま...

言葉にできなかった気持ちは、二つの言語のあいだで、ようやく居場所を見つける。
母のために混ぜた粥の匂い。差別の痛み。愛されたいと願う心。そして、まだ白い未来を信じようとする祈り。
一篇一篇が、孤独の中で自分を守り、やがて誰かを愛せる人へと育っていく準成の、時を越えた手紙のように胸へ届きます。
翻訳しきれない思いさえ抱きしめながら、一人の少年の魂の軌跡を辿る、もう一つの『たく泪』です。

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『たく泪』ラストスピンオフ 『サンフランシスコの夜は更けて』─綴と夏空はじめての海外─|空-Haneul- サンフランシスコの夜は更けて ──綴と夏空はじめての海外── 機体が、ぐらりと傾いた。 離陸態勢に入った機内。 車輪が地面を離れるまでの、あの心許ない時間。轟音が身体に...

「守る」と決めたあの日から、十七年。
今度は、彼女がその手を握り返す。

『たくさんの泪から僕は生まれた』のその後を描く、ラストスピンオフ。

父の言葉が時を越えて誰かの手に渡る場面は、まるで準成自身もこの旅に同行しているようで、胸がいっぱいになりました。
食卓では、夏空の料理が「才能ではなく、祈り」と称えられ、新しい未来への扉が開きます。その一方で綴の胸に広がるのは、彼女の成長を喜ぶ気持ちと、いつか手を離す日への寂しさでした。守る側だった綴が不安をこぼし、かつて守られた夏空がその涙を抱きしめる姿に、二人が重ねてきた時間の深さを感じます。

「はじめから──私の大好きな人だっただけ」

たくさんの泪を越えた先で、ようやく言葉になった想い。喪失を抱えながらも、残された人は誰かを愛し、新しい人生へ歩いていけるのだと、静かに教えてくれる物語です。

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桐山ドクターは異世界🧑‍⚕️転生バージョンの私(Haneul)です|空-Haneul- 「私を医師と思わず、インタビュアーだと見做してください。あなたという人物に強い関心がある取材者です。しかも守秘義務は完璧に護る前提の」 前提が与えられると気分が...

症状だけを聞くのではなく、その人がどんな人生を歩き、何に傷つき、何を恐れているのかまで知ろうとする姿勢。綴の悲嘆を「グリーフケア」だけで終わらせず、さらに深いトラウマや見捨てられ不安へ触れていく描写に、物語としての切実さと、現場を知る方だからこその説得力を感じました。

制度や時間の制約を越えて、こんなふうに一人の心と向き合えたなら。その願いから生まれた桐山ドクターは、まさにHaneulさんの異世界転生版なのだと思います。

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『シェイクスピアなんて大嫌い』総集編|空-Haneul-|note 「私の青春はあの人と共に消えた。私は失った50年を取り戻したい」                     大阪の芸大・舞台芸術学科4回生の藍のミッション。それは若き...

ー ご紹介した書き手さん

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空-Haneul-|note 「空」──韓国語でハヌルと読みます。 なぜ在日外国人(マイノリティ)に生まれたのか? 長い自問に答えるために物語を紡ぎ始めた🔰セラピストライター。初小説『たくさんの...
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