本日のおすすめ / NOB【映画感想文】マッカム

ささの なこ

強い光を当てるのではなく、そばに灯りを置く。
扉まで来て引き返す気配に、気づかないふりをする。
その距離の取り方が、とてもやさしく感じられます。
この作品の美しさは、救いが大きな言葉や劇的な出来事として描かれないところにあります。

水底から、暗い部屋へ。
暗い部屋から、遅い朝へ。
急かさず、ただそばに灯りを置き続ける。
沈んでいた心が、ほんの少しだけ水面に近づくような、

静かでやさしく、温かな掌編です。

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水底・遅い朝|ささの なこ 水底を見つめたまま、沈みゆく小さな影があった。 呼んでも戻らない。 声には反応しているが、水底を見つめたままだ。 灯りを影の周りに置いた。 影は見ない。 正面にゆき...
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我、弱き者也|ささの なこ 我が心を護る為 武具を執れ。 屈する価値なき者に 頭を垂るること許さず。 退路を断ち、 冷笑を浮かべよ。 誤りは許されず、 正しく強く在れ。 光など攻守の役に立たず。 ...

人は本当に強いときよりも、弱さを知られたくないときにこそ、強い言葉を必要とするのかもしれません。
だからこそ、最後の一行が胸に残ります。
弱いからこそ、構える。
弱いからこそ、守ろうとする。
弱いからこそ、強く在ろうとする。
短い言葉の中に、人が自分の心を守るためにまとう鎧と、その奥にある切実な孤独が刻まれた作品です。

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知る人ぞなき|ささの なこ 理解をしていないから、軽々しく言える言葉がある。 理解しているつもりだから、相手が「止めて」と願っていることも分からない。 相手がぎゅっと握りつぶされそうな気持ち...

理解していないからこそ、軽々しく言える言葉がある。
そして、理解しているつもりでいるからこそ、相手がどれほど傷ついているのか、気づけないことがある。
その残酷さが、余計な説明を加えず、まっすぐに描かれています。
分かってほしかった。
でも、分かってもらえなかった。
その静かな断絶を、短い言葉の中に深く残す作品です。


ー ご紹介した書き手さん

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ささの なこ|note 短い物語を書いています。 思いついた景色や言葉を置いています。
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