本日のおすすめ / NOB【映画感想文】マッカム

三上乃愛

曇りの日の朝、しまい込んだはずの記憶が、白い光の中に浮かび上がる。
何気ない朝のひとつひとつが、主人公の内側に残っていた記憶を静かに照らしていきます。

この作品の魅力は、感傷に沈みきらないところにあります。
過去の恋を思い出しながらも、その語り口にはどこか可笑しみがあり、自分の未練や苛立ちさえ、少し距離を置いて眺めているような軽やかさがあります。
忘れたつもりの記憶は、いつも劇的に現れるわけではありません。
そこには、完全な解決でも、鮮やかな再生でもない、生活の中で少しずつ現実に戻っていく人の姿があります。
湿った空気と白い光の中に、過去の恋の残像と、今を生きる人の静かな呼吸が滲むエッセイです。

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|エッセイ|曇りの日は、余計なものがよく見える|三上乃愛 艶を見せないままの緑の葉が揺れている。 やけに湿っぽいし脂汗が浮く。 起き上がる体と足の運びが重いあたり、あらかた今日の天気はお察しがつく。 レースカーテンがやた...
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|散文詩|この夜は何も訊かない|三上乃愛 心の湖面に柔らかく触れる香りと、触れるたびに寄り添うタオルケット。遠くから照らす間接照明が、その夜にあるものをそっと照らしている。揺れ動く小さな影の傍らで、ホッ...

香りや灯り、音楽や湯気といった小さな気配を通して、傷ついた心が静かにほどけていく時間を描いた散文詩です。

夜は、ときに感情を濃くします。
眠る前の静けさの中で、ふと輪郭を持つことがあります。

どうして悲しいのか。
何を抱えているのか。

そんなふうには訊かない。
ただ、香りがあり、灯りがあり、湯気があり、音楽がある。
そのひとつひとつが、夜の中にいる「私」を責めず、急かさず、ただそばに置かれているように感じられます。
だからこそ、読者はその余白に自分自身の夜を重ねられるのかもしれない…。

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|短編小説|光が届く頃#プロローグ|三上乃愛 記憶の奥に溶けきっていない感情がある。本来ならその温度に合わせて馴染むはずのものが、時を超えても分離している。 私は紅茶の表面に揺れる湯気を眺めた。底には溶け残...

本作は、裕子という女性を中心に、父との関係、恋人との時間、そして過去の記憶がゆるやかに重なっていく連作短編です。

誰かを大切に思うことと、別の誰かから離れられないこと。
愛されているのに、その温もりを受け止めきれないこと。
帰る場所があるからこそ、新しい場所へ進むことが怖くなること。
この物語は、そうした複雑な感情を、静かな生活の場面の中に丁寧に描いています。

温かな食卓と、ほどけない記憶。
親子の情と、恋人との未来。
それらに囲まれながらも、裕子の心には、まだ名前をつけられない感情が残っている。
記憶が感情と溶けきらないまま、胸の奥に白く沈んでいる。
だからこそ、このシリーズのタイトルである「光が届く頃」が、静かな祈りのように響きます。

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|短編小説|光が届く頃#1 -居場所-|三上乃愛 |短編小説|光が届く頃 プロローグはこちらから↓ ─────────‪─────────── #1  帰宅して扉を開けるとキムチ鍋の香りが部屋中に広がっていた。赤く煮立つ鍋の匂いに混...
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|短編小説|光が届く頃#2 -二人の隙間-|三上乃愛 #2   揚げたてのコロッケや唐揚げが売り場に並ぶ頃、仕事帰りの人たちが次々と列を作り、私は注文を受けては会計をしていた。顔を上げると、クリスマスセールの赤い...

ー ご紹介した書き手さん

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三上乃愛|note 受容しきれない記憶と感情が物語の主人公。 エッセイと小説、散文詩。たまに日記もカキカキ✍
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